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その家具と暮らす 荒川家具

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美しいものは残る

2020/05/18

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毎年のように新商品が生まれ、その中で20年、30年と残っていくものはいったいどれくらいあるのだろうか。
もともと家具は技術革新があるわけでもなく、生活自体がガラッと変わることもないので、テーブルは昔からテーブルだし、椅子は椅子です。

それでも各メーカーやお店からたくさん新商品が生まれていきます。発表されたときは新作展示会などで大々的に宣伝され、メディアなどにも華やかに取り上げられる。
しかしそこから使い手に支持され、長く愛される商品に育っていくものはほんのわずか。残るものと残らないものの違いはどこにあるのか。

その答えはロングセラーと呼ばれる家具にヒントがあるのではないでしょうか?

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機能美

ロングセラーと呼ばれる家具には大きく3つの要素が見てとれるのではないでしょうか。

一つは使いやすいこと、2つ目はしっかりとした作りであること、そして3つ目は美しいデザインであること。

その中でも3つ目の要素は重要です。
例えば椅子ならどんなに座り心地がよくて、丈夫な作りでも、美しいデザインでなければ時代を超えて愛されることはありません。

その美しさも色々あると思いますが、機能をふまえた美しさ「機能美」がなければならないと思います。つまりは、使いやすさと構造的なしっかりとした作りをふまえてデザインされていることです。

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NO.42チェア

今年で御年91歳になるデンマークのデザイナー、カイ・クリスチャンセンが1956年にデザインしたNO.42チェアはまさにロングセラーの椅子です。

その当時はデンマークの工房で作られて、その後しばらくのあいだ生産中止となっておりましたが、2008年より日本の宮崎椅子製作所より正規の復刻品として発売されました。

真横から見た時のフォルムが美しく、肘掛けから鋭角にそのまま後ろ脚へと延びていきます。
この構造はその当時から類はなく、くつろぐ時に肘も掛けられて、しかも通常のアームチェアと違い座面前が広く使え、脚を広げたり横向きに座ったりと自由度があります。

背もたれも角度が変わり、普通に座っても、ダラッと座っても背中にフィットするような作りになっています。人間はどんなに座り心地の良い椅子でも同じ姿勢でじっとはしてられません。体を動かせる自由度がある椅子が、結局は座りやすい。そんな基本的な人間の特性も踏まえデザインされています。

真後ろから見ると後ろ脚が下に伸びるにつれてシェイプされているのがわかります。それは逆に上にいくにつれて肘掛け部が広がり、座るときに窮屈さを感じさせないためです。立ったり座ったりもしやすいですね。

NO.42チェアのように半世紀前にデザインされ、一時期生産中止になっても、美しいものは忘れ去られることはなく、残り続けるでしょう。

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