一周回ってかわいい
2021/07/26
日本の名作家具といわれているものは1950~60年代に多く生まれている。戦後復興の中で、はやく日本のオリジナルデザインを確立しようと豊口克平、柳宗理、剣持勇らのデザイナーが奮闘したからだろう。
発売から半世紀以上作り続けられ、いるいわゆるロングセラーと呼ばれる商品の中には、実はずーっとたくさん売れ続けいるものは意外と少ない。
機能性より豪華さ、シンプルより派手さを好んだ時代だったのだろうか、1990年代には年間20脚しか売れなかったというメーカーの話や、その椅子を探そうとして色んな家具屋さんを回っても、置いてあるところがなく、やっと一件置いてある家具屋さんを見つけても、倉庫の奥のほうから出してきたという話を聞いたことがある。
当店でも名作家具を取り扱い始めたころは、販売に苦戦した記憶がある、だけど今、一周も二周も回って改めて名作家具やロングセラーの商品が支持されてきていると感じる。
ある年配のご婦人からは「実はこの家具を新婚の時に初めて買ったんですよ」とか「若いころにデパートで購入して使っていた」という話を聞く一方で、若いお客様は名作家具と知ってどうかわからないが「これかわいいー」と喜んでくれている。かわいいは最高の誉め言葉なのかな。